前回、現在の公立中学校の評価基準の一部を取り上げました。
最終的には定期テストの点数や提出物等の評価を合わせて、いわゆる5段階評価の評定が学期ごとにでます。
今回は、その評定の算出方法について書きます。
生徒の学習活動として、3つの観点に分けて、その平均値で、評定が算出されます。
3つの観点とは
① 知識・技能
② 思考・判断・表現
③ 主体的に取り組む態度
となっています。
地域にもよりますが、公立中学校での定期テストでは、問題用紙あるいは解答用紙にどの問題が①~③にあたるのか記載されています。また、小学校で行われるテストいわゆるカラーペーパーにも記載されています。
ここに、小テストや提出物、前回紹介した「ふりかえり」を合わせて、観点別に達成率という3つの値の平均値がその科目の評定となります。
ここまでの記載だけ、なんだかよくわからないと思います。
とある公立中学校の2学期の音楽の具体的な評価例が手元にあるので
観点別の評価基準を点数化したものがありました。
それをそのまま紹介します。
観点① 計100点
Ⅰ 実技のテスト
10点×5=50点
Ⅱ 鑑賞のプリント(知識)
5点×4倍=20点(A=5点、B=3点、C=1点)
Ⅲ 期末考査(知識) 30点
観点② 計100点
Ⅰ 期末考査(思考・判断) 50点
Ⅱ 実技テストのプリント(工夫)
5点×6倍=30点(A=5点、B=3点、C=1点)
Ⅲ 歌詞のイメージ画(感受) 20点
観点③ 計100点
Ⅰ 期末考査(主体) 20点
Ⅱ 実技テストのプリント(反省)
5点×6倍=30点(A=5点、B=3点、C=1点)
Ⅲ 夏休み宿題まとめ 20点
Ⅳ 鑑賞のプリントまとめ
5点×6倍=30点(A=5点、B=3点、C=1点)
平均と書きましたが、要は300点満点で計算されています。
ここで、内訳を見ると
期末テストは100点
実技テストはプリント含めて110点
その他のワークシートが90点
となっています。
実技教科なので、テストの比率は低いですが、実技の比率も決して高くはありません。
ここで5段階評定で5を得るためには90%の達成率が必要なので、270点が必要となります。なかなか厳しい数字だと思います。4であっても80%の達成率なので240点必要ということになります。それ以下だと3になってしまいます。
主要5教科であっても、小テストも評価に入るので日々気を抜くことができません。提出物も期限が守れなければ、内容がどんなに良くても評価は下がります。
東京都の場合、唯一救いがあるのは、高校入試に必要とされる評定は、中3の2学期のみというところにあります。もちろん、そのタイミングだけ頑張ればよいわけではありません。その時期に至るまでが練習期間とできることに救いがあります。
隣接する千葉県、埼玉県は中1からの3年間です。
神奈川県では、中2、中3となっています。
これらのシステムを全否定するつもりは全くありません。
子どもたちが社会に出て勉強以外に必要な「時間(期限)を守る」「忘れ物をしない」「主体的かつ客観的に物事を捉えられる」などといったスキルの一部が評価基準に入るため、そのトレーニングと考えることができます。
一方で、これらをクリアできる子がどれだけいるのか?
できなかった場合、どのような選択肢が待っているのか?
次回、都立高校だけでなく、私立高校がどの程度の内申基準を設けているのかを紹介し、このシリーズを終わりにしたいと思います。
最後に令和5年度に東京都内の区立中学校が中3の2学期に出した評定割合を東京都が公表しているのでリンクを貼っておきます。