今回は、偏差値表について書いていきます。
模試が実施されると、その結果に基づき、成績帳票(含む志望校判定)と合わせて、偏差値一覧が配付・公開されます。
この偏差値一覧には首都圏のたくさんの学校が記載されています。
模試結果において算出されたお子さまの偏差値と偏差値一覧を見比べて、受験校を検討されると思います。
まずは、この偏差値一覧に記載されている学校と数値がどのように決まっているのかを書きます。
一般に配付・公開される偏差値表は80偏差と呼ばれるものになります。
(日能研の場合R4偏差、四谷大塚ではAライン偏差)とも呼ばれます。
この80という数字がどのような意味で、どのように算出されるか実はご存じでない保護者の方が多いので、この部分を細かく書きます。
具体的な学校を挙げてみてもよいのですが、ここで特定の学校を例に挙げても、他の学校ではそうでない場合があるので、ある学校とします。
(そうでない場合というのは、改めて書きます。)
ある学校の80偏差が60だとします。
これは偏差値60以上でなければと受からない数値ではなく、ほぼ受かるだろうという数値です。
三大模試と呼ばれる、四谷大塚の合不合判定テスト・日能研全国公開模試・首都圏模試に加えてSAPIXオープンなどは、過去にその模試を6年生秋以降に受け、入試結果の追跡調査結果と照合したビッグデータを持っています。
その照合したビッグデータとその翌年度で行われる模試結果を合わせてその学校の偏差値が設定されます。
実際にはひとつの学校で考えると100人という数値はありえないですが、話をわかりやすくするために100人という数値で説明します。
ある学校の80偏差値が60というのは、過去のデータに基づいて、偏差値60の子が100人受けたら、80人受かったという数字です。偏差値62の子が100人受けたら90人受かっている、偏差値58の子が受けたら70人受かっていると細かく出すと混乱が起きるので、80人が受かる数値を80偏差とし、その学校の偏差値が60となります。
そして、その模試において、偏差値60となるテスト結果を出せば、合格可能性80%と帳票に記載されることになります。
そのような数値なので、合格可能性50%でも、悲観する必要はありません。
データ上では、半分の子が合格している数値なのですから
もっと言えば、合格可能性20%でも、2割の子が合格しています。
模試結果ですべての受験校に対して、80%の数値をもって入試に挑むことができるのはほんの一握りの子どもたちだけです。
毎年、この時期の6年生の子どもたちに対して、模試での合格可能性の数値のとらえ方を次のように話をしています。
80%が出ている子に対しては、
「今の日頃の学習の仕方そしてテストの受け方を継続できれば、良い結果につながるよ。ただし、この結果で大丈夫として、日頃の学習が甘くなれば、悪い方向に進んでしまうよ」
一方、50%や20%の結果だった子に対しては
「今の日頃の学習の仕方あるいはテストの受け方を考え直してみて欲しい。そこで良い方向に変えることができて、それが入試まで継続できれば、今は残念な状態にしか思えないだろうけど、最後は良い結果が待っているよ」
実際、私の教室に通う子どもたちのほとんどは、こういった模試において、20%や50%の数値で入試に挑んでいます。そして、全員とは言えませんが、ほとんどの子どもたちが、最終的に希望する学校の合格を得て、中学へと進学しています。
つまりは、この時期の模試結果は、これからの学習法やテストの受け方を見直す機会だと考えれば良いと考えています。
あまりにかけ離れていれば、併願校に関して5月以降、学校主催あるいは塾主催の学校説明会に足を運ぶといった行動はあってもよいとは思いますが、その前に、これからの学習の取り組み方に関してお子さまと向き合って話をしてみることが大事と思います
先日の日曜日に、四谷大塚の合不合判定テストが実施されました。そして、2日後にはSAPIXオープン、首都圏模試が実施されます。
それぞれ模試の特性(属性)が異なります。
一方で、今回はある学校の80偏差を60してと固定的に書きましたが、ひとつの模試でも学校の偏差値は微妙であったり大きく変動します。模試が異なれば、偏差値が大きく異なります。
次回に、模試の特性や、80偏差の変動の仕組み、そして模試における合格可能性の精度の弱点について書く予定です。
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