今回は、大手進学塾が主催する模試の特徴とその結果のとらえ方について書いていきます。
中学受験を目指す子は、合格可能性をはかるための模試として、
・四谷大塚合不合判定テスト
・日能研全国公開模試
・首都圏模試
・サピックスオープン
があります
受験学年を迎えた新6年生は、これらの模試をちょうど受け終え、結果が出た頃だと思います。
これらの模試の80偏差一覧を見ると、
合格80%ラインが全く異なります。
それは受験者層のボリュームゾーンが異なることによって、問題の出題レベルが異なり、かつ、その問題に対して6割から7割の得点をとれる子が平均値となる偏差値50となるからです。
例えば、サピックスオープンを受ける子のほとんどはSAPIX生です。
SAPIXの合格実績を見ると一般に最難関校と呼ばれる学校に対して約1000人の合格者数を出しています。あと少しのところで合格に手が届かなかった層まで加えると約2000人が最難関校レベルを目指す子が集まっている塾です。
その数値から考えると、サピックスオープンを受ける子の3割くらいが最難関校レベルの学力をもった子が受けるので、必然的に偏差値50のラインは上がります。
その結果、四谷大塚の合不合判定テストや日能研全国公開模試の偏差値50のラインとは8ポイントくらいずれます。
逆に首都圏模試は、一般に中堅校レベルと呼ばれる学校を第1志望に考えている子が受ける模試なので、偏差値50ラインは、さらに8ポイントくらいずれます。
8ポイントくらいと書きましたが、ここ数年の動向を見ると、体感として10ポイントくらいずれている感じがします。
最難関校と呼ばれる学校を目指しているのなら、このずれはあまり気にすることはないのですが、そうでない場合、このずれが合格可能性の数値の精度が変わってくるので注意が必要です。
具体的に書くと、四谷大塚合不合判定テストにおいて、男子で挙げれば成城、女子で挙げれば共立女子が、だいたい偏差値50と位置づけられています。
偏差値のずれよりサピックスオープンによる偏差値表では43くらいに位置づけられます。実際に模試間でのずれを確認する保護者の方は少数なので、サピックスオープンにおいては、成城、共立はともかく、それ以下に位置づけられている学校は、心理的に、ほとんど目を向けません。それに伴いに、志望校を記入する際に偏差値45以上の学校ばかりに数が集まり、それ以下の学校に対しては、志望者数が少なくなります。このことは、四谷大塚や日能研模試でも同じ現象がおきます。それにより、入試が終わったあとの追跡調査を行っても、80%となる結果のデータが少ないため、データ上の判定とはいえ、精度が悪くなります。
あくまでも私の体感ですが、サピックスオープンでの80偏差値表で42以下、四谷大塚・日能研での80偏差値表で45以下となっている学校は、データ上においてもその模試を受けても志望校判定の数値はあまりあてにできないと思っています。
つまりはお子さまの目指す学校に見合った模試を受けないと、精度のある志望校判定は受けられないということです。
もっと言えば、問題の出題レベルの異なりは、これが同じ学年の子が受けるテストなのかと思うくらい問題の難易度が異なります。
特に9月以降のサピックスオープンの問題は、男子では一般に中堅校と呼ばれる、女子では最難関校と呼ばれる学校以外あたりだと、計算問題や一行問題含めて入試問題よりもはるかに難しいです。
実際にここ数年、SAPIXでの個人面談において、ローコースの子には首都圏模試を受けることを勧めるケースを耳にします。
とはいえ、実際の入試問題と模試では問題構成も総設問数も異なるので、模試を適正に合わせたからと言って、完全に合格可能性をはかれるわけではありません。
だからといって、模試を受けなければ、問題構成や総設問数が異なっていたとしても、立ち位置がわからないので、模試を受ける必要はあると思います。
これらの話をまとめると、模試における志望校判定の数値は目安と考え、その時期その時期に合わせた弱点補強であったり、受験予定校に向けた学習のあり方を考える材料と考えるのがよいと思っています。
6年生のこの時期においては、週単位の学習を通して、弱点を減らしていく、すなわち、できることをひとつひとつ増やしていく、そしてできる問題の正解への処理速度を上げていく時期だと思います。
よく夏前の模試で結果が出なかったら、夏休み終わりに実施される塾のテストで結果が出なかったら、志望校変更を検討しようかというご相談を受けます。
お子さまが怠けきって全くやらないのであればともかく、結果は出なくても、前向きに取り組んでいるのであれば、その時期は違うと思います。15ポイント以上離れているのであれば、要検討かもしれませんが、10ポイントくらいまでなら、私の教室に通う子の場合、本人に意欲があるならには志望校変更しようという保護者にブレーキをかけています。半端に下げてモチベーションまで下がり、結果として受験校をさらに下げることになるからです。
もちろん、状況に応じて、第2志望校や抑え校として考えている学校を検討することをお勧めする場合はありますが。。。。
さて、学校の偏差値数値を固定的な前提で書いてきましたが、ここ数年間で、80偏差を大きく上げている学校があります。また、微妙にの変動している学校もあります。そして、2026年度入試は2月1日が日曜日なため、特に女子は80偏差が変動します。
次回に、80偏差の変動の仕組みとその理由について書く予定です。
また、最難関校レベルの学校にを志望する場合には、偏差値ではなく順位と考えています。順位に目を向けるという感覚はあまりないと思います。これは、その次に書く予定です。
受験サポート 進学教室アシストのコラムでは、受験生・受験生を持つ保護者の方に向けてお役立ち情報として公開しています。