以前に書いた「持っている力を出しきるテストの受け方」の続きです。
うまくいかない代表的な答案パターンの2つを挙げました
① 解答欄にはすべて答えが書いてあるのに、×だらけ。
② 問題用紙が、解いているはずなのにとてもきれい。または、どこに何が書いてあるかわからない。
今回は、②の改善策の一部を書きます。
ただ、この②については、問題用紙がきれいである理由によって対処法が異なるのでその理由によっては改善するのに時間がかかります。
進学教室アシストに通う受講生は、テストが実施されると、問題用紙と解答用紙を持ってきて私に見せるという流れができています。
点数はあまり重視せず、問題用紙の書き込み跡を見て、ヒアリングをしながら、できるはずの問題を失点してしまった原因を一緒に考えます。
点数を重視すると、どうしてもテストの受け方だけでなく、日頃の勉強までの改善まで話が広がってしまい、テストを受ける際のよくないことがぼやけてしまうからです。
もちろん、日々の積み重ねがテストに反映されるものです。
ですが、アウトプットが上手でない子に対しては、日々の積み重ねとテストの受け方は別で、両方ができて点数につながると話しています。
(実際は、連動してはいますが。。。。。)
さて、ここで解答はしているのに問題用紙がとてもきれいである子にヒアリングするとどういう回答が多いのか挙げてみます。
A 暗算で解けた。
B 解答の出し方を覚えていた。
C よくわからなったので、テキトーに解いた
他にもいろいろな回答がありますが、もっと正解があったはずなのに、残念な結果になる原因となるのはこの3つでしょうか
まずは、Aから
そもそも計算力を持ち備えているから、暗算で解くことができるのですが、その計算力がミスを誘引するきっかけであったり、無駄に時間がかかってしまう要因になったりもします。
計算力が十分でないのに、暗算で無理矢理解いているケースは、別の機会に書くことにします。
たまたま数日前にあった、あるテストの問題用紙で見かけたことを具体例と挙げてみます。
底面が半径12㎝、中心角が120度のおうぎ形で高さが12.5㎝の柱体の体積を求める問題でした。
図の周辺に 12 というメモだけが残されていました
円周率をかける前の 底面積をメモとして残していたことになります。
おそらくは その後 12×12.5 を暗算で行い、さらに3.14倍も 暗算で行ったのでしょう。
この暗算力はそれはそれで素晴らしいのですが、もっと単純に、計算ができる問題でした。
解答に至るまでの式は、

となります。
約分を先にすると,

となります。
ここで、6×2を先に行うのと、2×12.5を先に行うのとでは明らかに後者の方が計算が単純になります。
その子には、式で示し、どちらが楽であったか問いかけました
このようなやりとりの積み重ねで、だんだんと変わっていきます。
ただ、「式を書きなさい」だけだと、なまじ計算力がある子には書くメリットを感じられないので、いつまでも書きません。
時間はかかりますが、教室に通う子どもたちと忍耐強く付き合っています。
次にBです。
前提として、解いた跡が見当たらず、間違っている場合の対処です。
これは、おもに範囲のあるテストで出る現象です。
範囲のあるテストだと、そのテストに向けて努力して反復した問題と見た目が同じような出題になることが多いです。
「解答の出し方を覚える」ほど、努力したことは認めつつ、本当に自分の知っている問題と全く同じか確認をさせます。
そうすると、計算ミスが原因であることを除いては、大体が、思いこみで解いてしまっていることがほとんどです。
高学年になればなるほど、見た目が同じに見えても、微妙に条件設定を変えて出題されるので、求めるものが自分の知っているものと異なったり、そもそも解法が異なったりします。
そのことに気づかず、記憶をたどるだけのわずかなメモだけ書き残し、解答を出してしまっているので、合うはずがありません。
「知っているからできる」と思った問題ほど、本当に自分の知っている問題かテスト時に確認する必要があります。
「式を書きなさい」の前に、「問題文をしっかり読む」ことの習慣付けが大事に思います。
問題を読まなくてというご相談もよく受けます。
どうしたら問題を読むようにできるのかというテーマと合わせて、その習慣付けをいずれの機会に書こうと思っています。
最後にCです。
問題を読んで、何をどうすればよかったのか全くわからなかったのであれば、それは仕方ありません。
ただ、本当に何もできなかったというケースは、実はあまりありません。
実際の入試では、見た目も含めてBのように見たことがあるような問題ばかりではありません。
難関校といわれる学校になればなるほど、誰もが見たことがないような初見問題ばかりです。
少なくとも、問題文の条件を書き出してみる。線分図や状況図を自分で書いてみる。
という試みをせずに、投げ出しているケースがほとんどです。
ここで大事なのは、もう終わってしまったテストですが、解き直しの際に、下手でも見当違いでもいいから、書き出させることです。
投げ出すタイプの子のほとんどは、書き方がわからないと主張し、説明を求めてきます。
そこで説明してしまうと、何も自分の頭で考えずに、解答方法を聞いてしまうので
いつまで経っても、初見問題に対応する力が育ちません。
ですので、書くまで教えないと突っぱね、何かしら書くまで待ちます。
私の教室に通う子たちは「わかるまで帰ってくるな」くらいの勢いで、家から出されている子が多いので、仕方なく書き始めます。
書いた結果、下手であろうと見当違いであろうと、そこからどうすればよかったのかのやりとりを開始します。
その繰り返しを行うことによって、だんだんと書く力が育っていきます。
今回は、教室に通う子どもたちと私の間でのやりとりを例に書いたので、ご家庭での取り組みに直結しにくい内容だったと思います。
参考になる部分があれば、活用してみてください。
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