今回は、自学において出てくる困ったことを、どのように質問するとよいかを書きます。
問題を読んで、問題の意味が全く通じない場合は、1から話をする必要がありますが、授業で教わった内容に派生することであれば、問題文を読んで、何もできないということは、ほぼありません。
算数でいえば
・問題文に書いてあることを、条件整理して書き出したけれど、その先何をすればいいかわからない。
・答えは出したけれど、合わない。
などといった、できる範囲での「手を動かす」「頭を使う」という作業をした上での困ったという事象で「わからない」になるはずです。
それを、真っ白な状態で、わかりませんと質問をしてくる子がいます。
この形での質問を指導者が受ける場合、どこで困っているかわからないため、とおり一辺倒の説明をするしかありません。
つまりはつまづいている場所がどこかわからないまま指導者が説明をするしかないので、質問をしたという行動の達成感のみで、ほとんどの場合、実は何も解決しません。
解答を出すまでの流れを聞いただけなので、根本的な疑問点が解決せず、しばらく時間が経つとまたわからないになります。
では、どうすればよいのか?
算数に関してでいうと、上に挙げた困った事象をそのまま指導者に見せればよいのです。
ほとんどの場合、よくある困った事象なので、力のある指導者であれば困った部分やつまづいている部分をすぐに見抜くことができます。
その部分を改めて教わる、指摘してもらうことで、つまづいている部分が明確になり、
「わからない」が「わかる」となり、
また、それを自力でもう一度取り組むことで、
「わかる」が「できる」に進歩していきます
解答・解説がある問題であれば、解説部分の意味の通じないところに印をつけ、それを指導者に見せる方法も有効です。解説に書いてある式の流れで、もう理解できるだろうと省略されていることが結構あります。省略されている部分の説明を受けることで、考え方の流れが理解できることが多くあります。
私の教室に通う子どもたちの場合、質問の仕方から教えることがほとんどです。
自力でできることがあるのに、それをせず聞いてきた場合には、自力でできることまでを作業させます。その上で、作業したものを見ながら、何で困っているのか等をやりとりします。
・問題文をしっかりと読んでいないことが起因である場合
→ 問題を読み直すことを指示します。
・計算で失敗している場合
→ 解き跡で間違いがないか、探させます。
・途中で間違っている場合
→ 間違い箇所を指摘し、そのあとの解答にたどりつくまでのことを自力でさせます。
・問題の意味がわからないと言い張る場合
→ 会話のやりとりで、何がわからないのかを確認します。
ほとんどの場合、実は読み取りが雑なだけで、やりとりしているだけで何も説明しないまま、わかったと言って、自力で解き始めます。
・根本的にわかっていない場合
→ これは1から話をします。そして反復させます。
時間はかかりますが、できる限り自力解決を目指します。
このような関わり方で子どもたちとつきあっていると、だんだんと自発的な取り組みをするようになり、
・自分の解き方が解説に載っている解き方ではないけれど、ダメなのか?
・もっと効率よく解く方法はないのか?
というようなもう1段階上の行動が始まります。
ご家庭内でそこまでを目指すのは難しいのが実情だと思います。
また、どのように質問しているのか状況も見えないと思います。
「どの問題を質問してきたのか、そして何がわかったのか」を聞くことが大事だと考えます。細かな内容面まではともかく、そこで会話することが、反復の一環になります。
お子さまの性格や学年によっては、上手に話できなかったり、面倒がって話したがらないこともあるかもしれませんが、声をかけて耳を傾けてあげることだけでも意味はあるでしょう。これは、ふだんの授業に対しても同様のことが言えます。
学習の仕方が確立している中高生には、そこまでのことは不要かもしれませんが、問題が解ける解けない以前の学習の仕方がわかっていない小学生には大事な関わりだと考えます。
あとは、質問に行けないという相談もよく受けます。
「わからないことを聞くことが恥ずかしい」
「質問に行くこと自体ハードルが高い」
などケースはさまざまですが、
はじめのうちは、予め塾に
「質問があるのに行けなくて」
と電話を入れておくことをお勧めします。
先生に取り次ぐ必要はありません。
受付の方に伝えるだけで十分です。
それだけで、たいがい先生から声をかけてもられるようになり、対応してもらえます。それを何回か繰り返していくうちに「恥ずかしい、ハードルが高い」等がなくなり、自分で行けるようになることがほとんどです。
せっかく費用をかけて指導を受けているからこそ、上手に質問をする機会を作っていくとよいでしょう。
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