個別指導の利点と弱点

 ちょうど私の教室の個別指導枠の新規募集が一時休止になったので、個別指導の利点と弱点について書いてみようと思います。

 この10年で個別指導の学習塾が一気に増えたと感じています。
 あまり受験熱が高くない私の自宅周りでも5件くらい新しくできたでしょうか

個別指導というと
① お子さまの状況に見合った指導が受けられる
② 特定の苦手科目や分野について、集中的に受けられる
③ 学校の進度に合わせて指導が受けられる
④ 他の習い事に合わせて、時間の融通が利きやすい

といったところがイメージとして、あがるところでしょうか。

 これらの利点は間違いないと思います。
費用としては割高にはなりますが、上手に活用すれば、学力向上につながりやすいので悪い選択ではないでしょう。

  ただし、①、②については注意が必要です。

 ①の「状況に見合った指導」は聞こえはいいですが、お子さまのペースだけになってしまうため、到達したいレベルまでたどり着かないことが起きることがありがちです。

 相当にお子さまが高い意欲を持ち、できることをひとつひとつ増やし、レベルアップしていくのであれば効果は上がりやすいでしょう。しかし、教わったことで満足し、自分ひとりの力でできるようになる反復学習を行わなければ、ずっと同じところをぐるぐるしているだけ、あるいは時間が経って、またそこに戻ることになりかねません。

 私の教室の個別指導枠については、その子にとって必要なレベルからスタートはしますが、もう1段階上のところまで到達できるよう、ある程度の負荷をかけて指導しています。そうでないと、目先の困ったが解決したことでとどまり、そこからの向上心が生まれないため前に進まないからです。

 個別指導塾の利点は、オーダーメイドで指導を受けられることです。曜日や時間の融通だけでなく、指導内容についてもオーダーできます。小中学生であれば、問い合わせや学習相談時に、今困っていることを解決したら、どのようにその先を導いてくれるのかまで保護者がはじめにきちんと話をすべきだと思います。

 ②の「苦手科目や分野に特化して指導が受けられる」という点は、そもそも「わからない」「解けない」ことに対して指導が受けられるので、「わからない」が「わかった」に変わり、一時的な達成感は得られると思います。

 「全くわからない」状況は、手を差し伸べてあげるしかないので、そこは必要だと思います。しかし、ある程度わかってきた段階での「わからない」は、ほとんどの場合、考えるのが面倒だから、見た目で難しそうだから、「教えて」になるケースがほとんどです。この時点で指導者が解答までの道筋をすべて説明してしまったら、教えてもらったという事実だけで、何も+αは生まれません。

 これは、個別指導に限ったことではありませんが、私の教室で質問してくる子どもに対して、何とかしようとした痕跡が全く見えない場合、ある作業をさせます。
効果的な質問の仕方という内容のコラムをいずれの機会で書きたいと考えています。

また、「わかった」と「できる」は違います。
最終的に「できる」ところまでを、しっかりとオーダーするとよいでしょう。
「できる」の効果測定を何で確認できるのかを、きちんとはじめに聞いておくことが
大切だと思います。

 お仕事や家事をしていると、細かな内容まではなかなか目が行き届かないと思います。 それでも個別指導に預けるということは、「点数が良くない」「自分ひとりでできない」という状況があっての行動だと思います。
 費用対効果を期待するのであれば、毎週である必要なないと思いますが、数ヶ月に一度くらいのペースでも十分ですので、指導者または指導者から報告を受けている管理者と書面ではなく、電話等でお話する機会を持つことをお勧めします。


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